大聖人様は『法華題目抄』に、 「問うて云はく、妙法蓮華経の五字にはいくばくの功徳をおさめたるや。答へて云はく、大海は衆流(しゅる)を納(おさ)め、大地は有情(うじょう)非情を持ち、如意宝珠(ほうじゅ)は万宝を雨(ふ)らし、梵王(ぼんのう)は三界を領す。妙法蓮華経の五字も亦復(またまた)是(か)くの如し。一切の九界の衆生並びに仏界を納めたり。十界を納むれば亦十界の依報の国土を収む」(御書三五五頁) と仰せであります。 この御文は、妙体の具徳、すなわち妙法蓮華経の五字に具(そな)わる功徳について、譬えをもって明かされているのであります。 すなわち「大海はあらゆる河川の水を収め、大地はあらゆる人畜、草木等すべての有情・非情を載せている。また、如意宝珠は一切の宝物を自在に現じ、大梵天王は欲界・色界・無色界の三界の一切を統領しているように、妙法五字には九界の一切衆生も仏界も、ことごとく納められている。既に九界の衆生と仏の一切を収めている以上、その住処たる国土の一切を収めていることは明らかである。すなわち妙法五字のなかには、十界の依報、正報を漏らさず収めている」と仰せられているのであります。 故に『当体義抄』には、 「問ふ、妙法蓮華経とは其(そ)の体(たい)何物(なにもの)ぞや。答ふ、十界の依正(えしょう)即ち妙法蓮華の当体(とうたい)なり」(同六九二頁) と仰せられ、妙法蓮華経の五字に十界の依正、三千の万法を収められていることを明かされているのであります。 まさしく、この御文を拝し、我らは妙法蓮華経の五字に具わる広大無辺なる功徳を拝信し、この功徳をもって、自らの成仏を期するとともに、末法濁悪(じょくあく)の世にあって、謗法の害毒によって苦悩に喘(あえ)ぐ多くの人々に対し、妙法を下種し、救っていくことが肝要であります。 特に今、宗門は、全国の各支部ともに平成三十三年・法華講員八十万人体勢構築の達成を目指し、僧俗一致・異体同心して前進をしている時、一人ひとりが大御本尊様への絶対の確信を持って唱題に励み、その功徳と歓喜をもって大折伏戦を展開し、もって仏祖三宝尊の御照覧を仰がれますよう心から念じ、本日の挨拶といたします。 (大白法・平成30年2月16日号より抜粋) (平成30年3月掲載) |