不軽菩薩は、礼拝行を通して衣座室の三軌を身口意の三業にわたって行じた功徳によって、大神通力等の三力を得、また、これを目(ま)の当たりにした増上慢の四衆も、法華経に帰依することができたのであります。 つまり、不軽菩薩を迫害した増上慢の者達も、さすがに不軽菩薩の大神通力、楽説弁力、大善寂力を見て、ついに信伏随従するに至らざるをえなかったのであります。 このことは、私どもの信心、特に折伏において、まことに大事なことが説かれているのであります。 折伏には説得力が必要であります。説得力が乏(とぼ)しいと、相手はなかなか信じません。 したがって、説得力を身に付けなければなりませんが、説得力と言っても、言葉がいくら巧(たく)みであっても、それだけでは相手は納得しません。 大聖人様は『法蓮抄』に、 「凡夫は此の経は信じがたし。又(また)修行しても何の詮(せん)かあるべき。是(これ)を以(もっ)て之(これ)を思ふに、現在に眼前に証拠あらんずる人、此の経を説かん時は信ずる人もありやせん」(御書 八一四頁) と仰せであります。 すなわち、折伏に当たって最も説得力があるのは、信心の功徳を現証として示すことだとおっしゃっているのです。 今、私どもの折伏も、不軽菩薩の大神通力、楽説弁力、大善寂力を目の当たりにして、増上慢の四衆が等しく、その説くところを聞いて信伏随従するに至ったように、確(かく)たる信心の現証を示すことが肝要であります。 そのためには、まず自らが戒壇の大御本尊様に対する絶対信をもって、自行化他の信心に励むことであります。 真剣に自行化他の信心に励むところ、おのずと妙法の広大無辺なる功徳によって、我らもまた不軽菩薩同様に、大神通力、楽説弁力、大善寂力を得ることができるのであります。 (大白法・令和5年7月16日号より抜粋) (令和5年10月掲載) |