日蓮正宗 昭倫寺

日如上人御言葉 唱題行(1月31日)の砌

 令和4年1月31日 於 総本山客殿

大聖人様は『諸経と法華経と難易の事』に、
「仏法やうやく顛倒(てんどう)しければ世間も又濁乱(じょくらん)せり。仏法は体(たい)のごとし、世間はかげのごとし。体曲がれば影なゝめなり」(御書 一四六九頁)
と仰せであります。

すなわち、天変地夭や疫病を含め、世の中が混乱する原因は、一にかかって仏法を正しく理解できず、正法を誹謗し、悪報を信じているが故であると御教示あそばされているのであります。
悪法を信ずれば、まず人心が乱れ、人心が乱れれば国土世間にまで大きな影響を及ぼすことになるのであります。

故に、大聖人様は『瑞相御書』に、
「夫(それ)十方は依報なり、衆生は正報なり。依報は影のごとし、正報は体(たい)のごとし」(同 九一八頁)
と仰せられているのであります。

すなわち、仏法においては依正不二の原理が説かれておりまして、主体たる正報と、その依(よ)りどころたる依報とが一体不二の関係にあることを明かされているのであります。
よって、正報たる我ら衆生のあらゆる用(はたら)きがそのまま、依報たる国土世間へ大きく影響を及ぼしているのであります。

故に『瑞相御書』には、
「人の悦(よろこ)び多々なれば、天に吉瑞(きちずい)をあらはし、地に帝釈(たいしゃく)の動(うごき)あり。人の悪心盛んなれば、天に凶変、地に凶夭出来(しゅったい)す」(同九二〇頁)
と仰せられているのであります。

この依正不二の原理は、凡夫の知恵をもってしては到底、計り知ることのできない仏様の智慧であり、三世十方を通覧せられて明かされた、御本仏の透徹された絶対の知見であります。
したがって、御本仏の絶対的知見によって明かされたこの依正不二の大原則を無視して、今日(こんにち)の如き混迷を極める惨状を救い、真の解決を図ることはできないのであります。

すなわち『立正安国論』の正意に照らせば、正報たる我ら衆生が一切の謗法を捨てて、実乗の一善たる三大秘法の随一、本門の本尊に帰依するならば、その不可思議、広大無辺なる妙法の力用(りきゆう)によって、我ら衆生一人ひとりの生命が浄化され、それが個から全体へ、衆生世間に及び、社会を浄化し、やがて依報たる国土世間をも変革して、仏国土と化していくのであります。

(中略)

『立正安国論』の精神も、要は折伏を実践するところにあり、したがって「立正」の二字には破邪顕正の意義が存しているのであります。

されば、今日の新型コロナウイルス感染症の蔓延(まんえん)を目の当たりにする時、今こそ我ら本宗僧俗は、一人でも多くの人々に妙法を下種し、もって全人類の幸せと全世界の平和を実現すべく、一天広布を目指して、たくましく前進していくことが最も肝要であろうと思います。

本年度の宗門発行のポスターには「今こそ 折伏の時」と記されております。

各位にはこの標語の如く、講中の総力を結集して折伏を行じ、もって身軽(しんきょう)法重・死身弘法(ぐほう)の御聖訓のままに、いよいよ自他共の成仏を果たされますよう心からお祈りし、本日の挨拶といたします。


(大白法・令和4年2月16日号より抜粋)

(令和4年3月掲載)