日蓮正宗 昭倫寺

日如上人御言葉 五月度広布唱題会の砌

 令和2年5月3日 於 総本山客殿

大聖人は近年頻発(ひんぱつ)する天変地夭(ちよう)ならびに飢饉疫癘(えきれい)による惨憺(さんたん)たる状況を見て、その原因は、世の中の人々が皆、正法に背き、悪法を信じていることにより、国土万民を守護すべきところの諸天善神が去って、悪鬼・魔神が便(たよ)りを得て住み着いているためであるとし、金光明経・大集経等を引かれて、正法を信ぜず、謗法を犯すことによって、三災七難等の災難が起こると、経証を挙げてその理由を述べられ、こうした災難を防ぐためには、

「汝(なんじ)早く信仰の寸心を改めて速やかに実乗の一善に帰(き)せよ。然(しか)れば則(すなわ)ち三界は皆仏国なり、仏国其(そ)れ衰へんや。十方は悉(ことごと)く宝土なり、宝土何ぞ壊(やぶ)れんや。国に衰微(すいび)無く土(ど)に破壊(はえ)無くんば、身は是(これ)安全にして心は是禅定ならん。此の詞(ことば)此の言(こと)信ずべく崇(あが)むべし」(御書 二五〇頁)

と仰せられて、一刻も早く謗法の念慮を断(た)ち、「実乗の一善」に帰するよう諌(いさ)められているのであります。

(中略)

「国に衰微無く土に破壊無くんば、身は是安全にして心は是禅定ならん。此の詞此の言信ずべく崇むべし」と仰せでありますが、この御文は、国土と身の上に衰えや破壊がなければ「身は是安全」すなわち現世安穏となり、「心は是禅定」すなわち心の散乱を静め、深く真理を思惟する境地に入ることができると仰せられ、この立正の言葉、安国の言葉、すなわち正を立てて国を安(やす)んずることができるということは、まさしく仏様の金口(こんく)、不妄語の言葉なればこそ、これを固く信じて、厚く崇拝しなければならないと仰せられているのであります。

されば今、新型コロナウイルス感染症によって、日本をはじめ世界中が騒然としている時、我々は改めて『立正安国論』の御聖意を拝し、異体同心・一致団結して、一人でも多くの人に妙法の広大無辺なる功徳を説き、折伏を行じて、もって今日の難局を乗りきり、仏祖三宝尊の御照覧を仰がれますよう心から念じ、本日の話といたします。

(大白法・令和2年5月16日号より抜粋)

(令和2年7月掲載)