大聖人様は『上野殿御返事』に、逆縁成仏について次のように仰せであります。 すなわち、 「昔、インドに非常に嫉妬(しっと)深い女人がいて、夫を憎(にく)むあまり、ことごとに当たり散らし、家の物を壊すなど荒れ狂(くる)い、その上、あまりの腹立たしさに、怒りを露(あら)わにして、亭主が毎日読んでいた法華経の第五の巻を両足で散々に踏みつけたのであります。 その後、当然の如くその女人は地獄に堕(お)ちましたが、法華経を踏みつけた両足だけが地獄に入らず、獄卒が杖をもって打てども、どうしても両足だけが地獄に堕ちなかった」(御書 一三五八頁趣意) という話であります。 これは、同抄に、 「法華経をふみし逆縁の功徳による」(同 一三五九頁) と仰せのように、両足で法華経を踏みつけたことが逆縁となって、地獄に堕ちなかったということであります。 つまり、成仏得道のためには、たとえ逆縁であっても法華経に縁することが、いかに大事であるかと教えられているのであります。 (中略) 特に今、末法は謗法が充満し、ために多くの人々が知らず知らずのうちに悪縁に誑(たぶら)かされ、邪義邪宗の害毒によって不幸の境界から脱することができずにいます。 こうした人々を救済していくためには、正像過時の如き摂受(しょうじゅ)ではなく、破邪顕正の折伏をもってするのが最善であり、折伏こそ末法の一切衆生救済の最高の慈悲行であります。 なかんずく、昨今、緊急事態は解除されたとは言え、新型コロナウイルス感染症による騒然とした様相を見る時、私どもは今こそ、持てる力のすべてを出して、一人ひとりの幸せはもとより、全人類の幸せと全世界の平和実現のために一天四海本因妙広宣流布達成を目指して、断固として破邪顕正の折伏を実践していかなければなりません。 どうぞ皆様には、異体同心・一致団結して、全力を傾注して折伏を行じ、晴れて仏祖三宝尊の御照覧を仰がれますよう心からお祈りし、本日の話といたします。 (大白法・令和3年10月16日号より抜粋) (令和4年1月掲載) |