日蓮正宗 昭倫寺

日如上人御言葉 六月度広布唱題会の砌

 令和3年6月6日 於 総本山客殿

既に皆様も御承知の通り、今、新型コロナウイルス感染症の蔓延(まんえん)によって、国内のみならず世界的にも混沌(こんとん)とした様相を呈しております。

しかし、こうした現状を見て、我々は改めて一人ひとりが『立正安国論』の御聖意(しょうい)を拝し、この窮状を根本的に救えるのは、末法の御本仏宗祖日蓮大聖人の三大秘法の仏法以外にはないことを、よくよく知るべきであります。

大聖人様は『立正安国論』に、
「倩(つらつら)微管(びかん)を傾け聊(いささか)経文を披(ひら)きたるに、世皆(みな)正に背(そむ)き人悉(ことごと)く悪に帰(き)す。故に善神国(くに)を捨てゝ相(あい)去り、聖人所(ところ)を辞して還(かえ)らず。是(ここ)を以(もっ)て魔来たり鬼(き)来たり、災(さい)起こり難(なん)起こる。言(い)はずんばあるべからず。恐れずんばあるべからず」(御書 二三四頁)
と仰せであります。

すなわち、すべての災難と混乱の根本原因は、まさしく「世皆正に背き人悉く悪に帰す」と仰せのように謗法の害毒にあり、私どもは一切の謗法を捨て、末法の御本仏宗祖日蓮大聖人の仏法を正しく信仰していくところに、諸難を乗り越えることができるのであります。
よって一人でも多くの方々の幸せと国家社会の平安が、この妙法によって初めて実現できることを忘れてはならないのであります。

よって同じく『立正安国論』には、
「嗟呼(ああ)悲しいかな如来誠諦(じょうたい)の禁言(きんげん)に背(そむ)くこと。哀(あわ)れなるかな愚侶(ぐりょ)迷惑の麁語(そご)に随ふこと。早く天下の静謐(せいひつ)を思はゞ須(すべから)く国中の謗法を断(た)つべし」(同 二四七頁)
と仰せられ、混迷を極める今日(こんにち)の窮状を救うためには何を差し置いても、諸悪の根源たる邪義邪宗の謗法を対治し、折伏を行じていかなければならないと断じられているのであります。

さらに『聖愚問答抄』には、
「今の世は濁世(じょくせ)なり、人の情もひがみゆがんで権教謗法のみ多ければ正法弘まりがたし。此(こ)の時は読誦・書写の修行も観念・工夫・修練も無用なり。只(ただ)折伏を行じて力あらば威勢を以て謗法をくだき、又法門を以ても邪義を責(せ)めよとなり」(同 四〇三頁)
と仰せであります。
大聖人様は、ここでも謗法が充満して人心が撹乱(こうらん)し、末法濁悪の世相をそのまま映し出している今こそ、我々一人ひとりが大聖人様の弟子檀那として、一意専心、断固たる決意を持って折伏を行じていくことが最も大事であると仰せあそばされているのであります。

よって、私どもは『如説修行抄』の、
「権実雑乱(ぞうらん)の時、法華経の御敵を責めずして山林に閉ぢ篭(こも)りて摂受(しょうじゅ)の修行をせんは、豈(あに)法華経修行の時を失ふべき物怪(もっけ)にあらずや。されば末法今(いま)の時、法華経の折伏の修行をば誰か経文の如く行じ給へる。誰人にても坐(おわ)せ、諸経は無得道堕地獄の根源、法華経独(ひと)り成仏の法なりと音(こえ)も惜しまずよ(呼)ばはり給ひて、諸宗の人法共に折伏して御覧ぜよ」(同 六七三頁)
との御教示を拝し、コロナ感染症によって世界中が混迷を極めている今こそ、立正安国の御聖意を拝し、異体同心・一致団結して勇猛果敢に折伏を行じ、一人ひとりの幸せはもとより、すべての人々の幸せを願い、さらに国家社会の安寧(あんねい)と全世界の平和と繁栄を実現するために、なお一層、一天広布へ向けて精進されますよう心から願い、本日の挨拶といたします。

(大白法・令和3年6月16日号より抜粋)

(令和3年9月掲載)