日蓮正宗 昭倫寺

日如上人御言葉 十一月度 広布唱題会の砌

 令和3年11月7日 於 総本山客殿

大聖人様は『持妙法華問答抄』に、
「『三界は安きこと無し、猶(なお)火宅の如し』とは如来の教へ『所以(ゆえ)に諸法は幻(まぼろし)の如く化の如し』とは菩薩の詞(ことば)なり。寂光の都ならずば、何(いづ)くも皆(みな)苦なるべし。本覚の栖(すみか)を離れて何事か楽しみなるべき。願はくは『現世安穏(げんぜあんのん)後生善処(ごしょうぜんしょ)』の妙法を持(たも)つのみこそ、只(ただ)今生の名聞(みょうもん)御世の弄引(ろういん)なるべけれ。須(すべから)く心を一にして南無妙法蓮華経と我も唱へ、他をも勧(すす)めんのみこそ、今生人界の思出(おもいで)なるべき」(御書 三〇〇頁)
と仰せであります。

この御金言を拝する時、私どもは値(あ)い難き生をこの世に受け、さらに値い難き妙法に巡り値えた身の福運を心から喜ぶとともに、この妙法を一人でも多くの人々に伝え、折伏していくことが、いかに大事であるかを知らなければなりません。

大聖人様は『南条兵衛(ひょうえ)七郎殿御書』に、
「いかなる大善をつくり、法華経を千万部書写し、一念三千の観道を得たる人なりとも、法華経のかたき(敵)をだにもせ(責)めざれば得道ありがたし。たとへば朝(ちょう)につか(仕)ふる人の十年二十年の奉公あれども、君の敵をし(知)りながら奏(そう)しもせず、私にもあだ(怨)まずば、奉公皆う(失)せて還(かえ)ってとが(咎)に行なはれんが如し。当世の人々は謗法の者とし(知)ろしめすべし」(同 三二二頁)
と仰せであります。

まさに、悪世末法の世相そのままに、謗法の害毒によって混沌(こんとん)とした現状を見る時、この窮状を抜本的に救済するには、私ども一人ひとりが断固たる決意と勇気を持って折伏を行じ、もって不幸と混乱と苦悩の原因たる邪義邪宗の謗法を対治し、身軽(しんきょう)法重・死身弘法(ぐほう)の御聖訓のままに妙法広布に挺身(ていしん)していくことが、今、最も急務であると知るべきであります。

どうぞ皆様には、このことをしっかりと胸に刻み、一天広布を目指し、講中一結して折伏を行ぜられますよう心からお祈りし、本日の挨拶といたします。


(大白法・令和3年11月16日号より抜粋)

(令和4年2月掲載)