仏法においては依正不二(えしょうふに)の原理が説かれ、主体たる正報とその依(よ)りどころたる依報とが一体不二の関係にあることを明かされているのであります。 よって正報たる我ら衆生のあらゆる用(はたら)きが、そのまま依報たる国土世間へ大きく影響を及ぼすのであります。 『瑞相御書』には、 「人の眼耳等驚(きょう)そう(躁)すれば天変あり。人の心をうご(動)かせば地動す」(御書 九一九頁) と仰せられ、また、 「人の悦(よろこ)び多々なれば、天に吉瑞(きちずい)をあらはし、地に帝釈(たいしゃく)の動(うごき)あり。人の悪心盛んなれば、天に凶変(きょうへん)、地に凶夭(きょうよう)出来(しゅったい)す」(同 九二〇頁) と仰せられているのであります。 この依正不二の原理は、透徹された仏様の智慧であり、三世十方、すなわち無限の時間と空間を通覧せられて明かされた御本仏の知見であります。 したがって、妙法に照らして示されたこの依正不二の大原則を無視して、今日の如き混迷を極める惨状を救い、真の解決を図ることはできないのであります。 すなわち『立正安国論』の正意に照らせば、正報たる我ら衆生が一切の謗法を捨てて、実乗の一善たる三大秘法の随一、本門の本尊に帰依すれば、その不可思議広大無辺なる妙法の力用(りきゆう)によって、我ら衆生の一人ひとりの生命が浄化され、それが個から全体へ、衆生世間に及び、社会を浄化し、やがて依報たる国土世間をも変革し、仏国土と化していくのであります。 反対に、我ら衆生の生命が悪法によって濁(にご)れば、その濁りが国中に充満し、依報たる国土の上に様々な変化を現じ、天変地夭となって現れるのであります。 これが『立正安国論』に示された原理であり、この原理を体して、真の世界平和と仏国土実現のため、挺身していくのが我ら本宗僧俗の大事な使命であります。 ここに今日、我々が法華講員八十万人体勢構築の達成へ向けて、全力を傾注していかなければならない大事な意義が存しているのであります。 (大白法・令和2年3月16日号より抜粋) (令和2年6月掲載) |