『乙(おと)御前御消息』に、 「抑(そもそも)一人の盲目をあけて候はん功徳すら申すばかりなし。 況(いわ)んや日本国の一切衆生の眼(まなこ)をあけて候はん功徳をや。 何(いか)に況んや一閻浮提(いちえんぶだい)四天下(てんげ)の人の眼のしゐ(盲)たるをあけて候はんをや」(御書 八九八頁) と仰せられ、末法の御本仏宗祖日蓮大聖人の仏法は、日本国一国だけに止まらず、「一閻浮提四天下」すなわち世界中のすべての人々を成仏の直道(じきどう)に導く、最も偉大なる教えなのであります。 今日(こんにち)、世間を見ますると、末法五濁(ごじょく)悪世の世相そのままに、ウクライナとロシアの情勢など世界のどこかで戦乱や争いが絶えず、さらに新型コロナウイルス感染症の拡散によって騒然とした様相を呈しておりますが、こうした混沌(こんとん)とした窮状を救済しうる大法こそ、末法の御本仏宗祖日蓮大聖人の本因下種の仏法であります。 されば今、末法の我ら衆生は、日蓮大聖人を久遠元初の御本仏と仰ぎ奉り、大聖人が御建立あそばされた人法一箇の大御本尊を帰命(きみょう)依止の本尊と崇め、至心に妙法を唱え、自行化他にわたる信心を行じていくところに、自らの幸せと全人類の幸せを実現し、真の世界平和を築くことができるのであります。 したがって今、私ども本宗の僧俗は一人でも多くの人に対して折伏を行じ、もって末法の御本仏日蓮大聖人の仏法に帰依せしめていくことが最も肝要なのであります。 大聖人は『聖愚問答抄』に、 「今の世は濁世(じょくせ)なり、人の情もひがみゆがんで権教謗法のみ多ければ正法弘まりがたし。 此の時は読誦・書写の修行も観念・工夫・修練も無用なり。 只(ただ)折伏を行じて力あらば威勢を以て謗法をくだき、又法門を以ても邪義を責(せ)めよとなり」(同 四〇三頁) と仰せであります。 折伏によって人を幸せに導くことは、自分自身もまた幸せになることであります。 されば皆様には、本年「折伏前進の年」に当たり、謗法の害毒によって苦悩に喘(あえ)ぐ人々に対して、一人でも多くの人を妙法に帰依せしめるべく、慈悲の心をもって勇躍として折伏を行じ、もって自他共の幸せを築かれますよう心からお祈り申し上げ、本日の挨拶といたします。 (大白法 令和6年3月1日号 掲載) (令和6年4月掲載) |