『頼基(よりもと)陳状』には、 「悪法世(よ)に弘まりて、人悪道に堕(お)ち、国土滅すべしと見え候」(御書一一二九頁) と仰せであります。 すなわち、悪法を信ずれば、まず人心が乱れます。 その人心が乱れれば、国土世間にまで大きな影響を及ぼすことになるのであります。 この仏法の原理が解らなければ、真の解決を図ることはできません。 大聖人様は『瑞相御書』に、 「人の悦(よろこ)び多々なれば、天に吉瑞(きちずい)をあらはし、地に帝釈(たいしゃく)の動(うごき)あり。人の悪心盛んなれば、天に凶変、地に凶夭出来(きょうようしゅったい)す」(御書九二〇頁) と仰せであります。 この依正不二の原理は、凡夫の智慧をもっては到底、計り知ることのできないものであり、三世十方すなわち、無限の時間と空間を通覧せられて、宇宙法界の真理を悟られた仏様が明かされた知見であります。 したがって、この依正不二の大原則を無視して、今日の如(ごと)き混迷を極める惨状を救い、真の解決を図ることはできないのであります。 すなわち、『立正安国論』の聖意に照らすならば、正報たる我ら衆生が一切の謗法を捨てて、実乗の一善たる三大秘法の随一、本門の本尊に帰依せば、その不可思議広大無辺なる妙法の力用(りきゆう)によって、我ら衆生一人ひとりの生命が浄化されます。 それが、個から全体へ、衆生世間に及び、社会を浄化し、やがて依法たる国土世間をも変革し、仏国土と化していくのであります。 (中略) されば、今こそ私どもは僧俗一致・異体同心して、来たるべき平成三十三年・宗祖日蓮大聖人御生誕八百年、法華講員八十万人体制構築の実現へ向けて、万難を排し、全力を傾注して折伏を行じ、力強く前進していかなければならないと思います。 (大日蓮・平成28年6月号より抜粋) (平成28年10月掲載) |