(立正安国論 御書二四九頁一四行目) 仁王経に云はく「人(ひと)仏教を壊(やぶ)らば復孝子無く、六親不和にして天神も祐(たす)けず、疾疫(しつえき)悪鬼日(ひび)に来たりて侵害し、災怪首尾(さいけしゅび)し、連禍縦横(れんかじゅうおう)し、死して地獄・餓鬼・畜生に入らん。若し出でて人と為らば兵奴(ひょうぬ)の果報ならん。響きの如く影の如く、人の夜書(ものか)くに火は滅すれども字は存するが如く、三界の果報も亦復是くの如し」と。 (通解) 仁王経には、こう説かれている。 「人が、仏法の教えを破るならば、孝行な子は持てず、父・母・兄・弟・妻・子は不仲で、天神も守らず、疾疫・悪鬼が次々と襲いかかって、災怪首尾(種々の災難や凶事が絶え間なく起こり)し、連禍縦横(禍いが、次々と種々の形で頻発)し、死んでからは地獄・餓鬼・畜生に堕ちるであろう。 もし、その悪道から出て、再び人間界に生まれたならば、兵士として隷属させられるという果報を受けるであろう。 音に響きの伴うように、身に影が添うように、また夜間に字を書いた場合に、灯りが消えると字は見えなくなるが、見えなくとも字は存するように、この世の中の果報というものも、現世での業因が、死後にまで継続し、厳然と受けていかねばならないのである。」 と。 |