(立正安国論 御書二四八頁十四行目) 但し人の心は時に随って移り、物の性は境に依って改まる。譬へば猶(なお)水中の月の波に動き、陣前(じんぜん)の軍(いくさ)の剣(つるぎ)に靡(なび)くがごとし。汝当座に信ずと雖も後定めて永く忘れん。若(も)し先づ国土を安(やす)んじて現当を祈らんと欲せば、速(すみ)やかに情慮(じょうりょ)を廻(めぐ)らし怱(いそ)いで対治を加へよ。 (通解) 但し、人の心というものは、時の経過と共に移り、物の性は環境によって変わるものです。 例えば、水に映った月が波によって動き、戦陣の兵が強敵の勢いになびくようなものです。 あなたは今、正法を信ずると決意していますが、後になれば、きっと忘れてしまうでしょう。 もし、まず国土を安穏にし、自分の現在と未来の幸福を祈ろうと思うならば、すみやかにその方策に思いを巡らし、急いで邪宗邪義を破折し対治を加えるべきです。 |