立正安国論 御書二四八頁十七行目) 所以(ゆえん)は何(いかん)。薬師経の七難の内、五難忽(たちま)ちに起こり二難猶残れり。所以(いわゆる)他国侵逼(しんぴつ)の難・自界叛逆(ほんぎゃく)の難なり。大集経の三災の内、二災早く顕はれ一災未だ起こらず。所以兵革(ひょうかく)の災なり。金光明(こんこうみょう)経の内、種々の災過一々に起こると雖も、他方の怨賊(おんぞく)国内を侵掠(しんりょう)する、此の災未だ露(あら)はれず、此の難未だ来たらず。 (通解) その理由は、薬師経に説かれている七難のうち、五難(人衆疾疫難・星宿変怪難・日月薄蝕難・非時風雨難・過時不雨難)は、すでに起こっていますが、まだ二難が残っています。 それは、「他国侵逼難」と「自界叛逆難」です。 また大集経に説かれている三災のうち、二災(穀貴(こっき)・疫病)は、早くから現れていますが、一災がまだ起こっていません。 それは、「兵革」の災です。 さらに金光明経に示される種々の災禍も次々に起こっていますが、その中で、他国の賊がこの国を侵掠するとの災難はいまだに現れていないし、起こってもいません。 |