日蓮正宗 昭倫寺

立正安国論(h30.4)


(立正安国論 御書二三七頁八行目)


大集経に云はく「若(も)し国王有って、無量世(むりょうせ)に於て施戒慧(せかいえ)を修すとも、我が法の滅せんを見て捨てゝ擁護(おうご)せずんば、是くの如く種(う)うる所の無量の善根悉く皆滅失(めっしつ)して、其の国当(まさ)に三(み)つの不祥の事(こと)有るべし。一には穀貴(こっき)、二には兵革(ひょうかく)、三には疫病なり。一切の善神悉く之を捨離(しゃり)せば、其の王教令(きょうりょう)すとも人随従(ずいじゅう)せず、常に隣国の為に侵(しん)にょう(*1)せられん。暴火(ぼうか)(よこしま)に起こり、悪風雨多く、暴水増長して、人民を吹(すい)ひょう(*2)せば、内外(ないげ)の親戚其れ共に謀叛(むほん)せん。其の王久しからずして当に重病に遇(あ)ひ、寿終(じゅじゅう)の後大地獄の中に生ずべし。乃至王の如く夫人(ぶにん)・太子・大臣・城主・柱師(ちゅうし)・郡守・宰官(さいかん)も亦復(またまた)是くの如くならん」已上。
 夫(それ)四経の文(もん)(あき)らかなり、万人誰(たれ)か疑はん。而るに盲瞽(もうこ)の輩(やから)、迷惑の人、妄(みだ)りに邪説(じゃせつ)を信じて正教(しょうきょう)を弁(わきま)へず。故に天下世上(せじょう)諸仏衆経(しゅきょう)に於て、捨離(しゃり)の心を生じて擁護(おうご)の志(こころざし)無し。仍(よ)って善神聖人(しょうにん)国を捨て所を去る。是(ここ)を以て悪鬼外道災(さい)を成し難を致(いた)すなり。


(通解)
大集経にはこう説かれている。
「もし国王があって、すでに無量世に亘って、布施を行じ、戒律を持ち、智慧を修得してきたとしても、正法の滅するのを見ながら捨てて擁護しないならば、過去に積んできたところの無量の善根は悉く滅し失われて、その国に三つの不祥事が起こるであろう。
それは、一に穀貴、二に兵革、三に疫病である。
また一切の善神が悉くその国王の領する国土を捨て離れてしまうので、国王がいかに命令を下しても、国民はいっこうにこれに従わないばかりか、常に隣国から侵略されるところとなるのであろう。
国土には、しばしば大火災が起こり、暴風雨が頻繁にあって、大洪水が増加し、多くの民衆を吹き飛ばし押し流す。そして、王を取り巻く内外の親戚が共に謀叛を起こすであろう。
その王は、まもなく重病にかかり、死んだ後は、大地獄の中に生ずるであろう。
また王と同じく、夫人・太子・大臣・城主・柱師・郡守・宰官らも、すべて同様の運命を辿るであろう」以上。

以上のように四経(金光明経・大集経・仁王経・薬師経)の経文は、まことに明らかである。
誰人がこれを疑うことができようか。
しかるに、盲目の人や理非分別のつかぬ人は、みだりに邪説を信じて正しい教えを弁えていない。
その影響により、また広く世間の人々も、諸仏や衆経に対して、捨て離れる心を生じて擁護する志がないのである。
ために、善神・聖人は国土を捨て去り、かわって悪鬼・外道が災難を引き起こすのである。