(立正安国論 御書二四八頁七行目) 客則ち席を(さ)避け襟(えり)を刷(つくろ)ひて曰く、仏教斯区(まちまち)にして旨趣(ししゅ)窮(きわ)め難く、不審多端(たたん)にして理非明らかならず。但し法然聖人の選択(せんちゃく)現在なり。諸仏・諸経・諸菩薩・諸天等を以て捨閉閣抛(しゃへいかくほう)と載(の)す。其の文顕然(けんねん)なり。茲(これ)に因(よ)って聖人国を去り善神所(ところ)を捨て、天下飢渇(けかち)し、世上疫病(やくびょう)すと。 (通解) 客は則ち、座を下げて座り直し、襟を正して言った。 仏教は多くの宗派に分裂していて、その真髄を究めがたく、また、解らないことが多すぎて、各宗派の理非が明らかでなかった。 ただし、法然聖人の選択集の誤りは、はっきりしていて、諸仏・諸経・諸菩薩・諸天等を、捨てよ、閉じよ、閣け、抛て、と述べた文は明白である。 これによって聖人は国を去り、善神は所を捨てて、天下は飢饉となり、世間には疫病が流行したと。 |