日蓮正宗 昭倫寺

立正安国論(r2.4)


(立正安国論 御書二四六頁十二行目)

迦葉、正法を護る者は是くの如き等の無量の果報を得ん。是の因縁を以て、我(われ)今日に於て種々の相を得て以て自(みずか)ら荘厳(しょうごん)し、法身不可壊(ほっしんふかえ)の身を成ず。仏、迦葉菩薩に告げたまはく、是の故に護法の優婆塞(うばそく)等は、応(まさ)に刀杖を執持(しゅうじ)して擁護すること是くの如くなるべし。善男子、我涅槃の後、濁悪の世に国土荒乱し、互ひに相抄掠(あいしょうりょう)し、人民飢餓せん。爾の時に多く飢餓の為の故に発心出家するもの有らん。是くの如きの人を名づけて禿人(とくにん)と為す。是の禿人の輩(やから)、正法を護持するを見て、駈逐(くちく)して出ださしめ、若しくは殺し若しくは害せん。是の故に我今(いま)持戒の人諸の白衣(びゃくえ)の刀杖を持つ者に依って、以て伴侶(はんりょ)と為すことを聴(ゆる)す。刀杖を持つと雖も我是等(これら)を説きて名づけて持戒と曰(い)はん。刀杖を持つと雖も、命を断ずべからず」と。


(通解)

迦葉よ、正法を護る者は、このような無量の果報を得るのである。
この因縁をもって、自分は今日、種々の相を得て自ら荘厳し、壊れることのない仏身を成就したのである。
仏は、さらに迦葉菩薩に告げられた。
この故に、法を護らんとする在家男子等は、有徳王のように、まさに刀杖をもって擁護すべきである。
弟子達よ、自分が入滅した後、濁悪の世が至ると、国土は荒れ乱れて、互いに相抄掠(財を奪い合い)し、人々は飢餓(貪欲)となるであろう。
その時代には、多くの人が飢餓(貪欲)な心から発心・出家する者がいる。
このような人を名づけて禿人(貪欲の心から出家した形だけの僧侶で、ただ髪が無いだけの者)というのである。
この禿人の輩は、正法を護持する者を見て、駈遣して(追い出して)、もしくは殺して、もしくは害するであろう。
この故に、自分は今、正法を持つ僧侶が、刀杖を持つ在家の諸人を伴侶とすることを許すのである。
刀杖を持つといっても、自分は、これらを名づけて正法を持つ人という。
刀杖を持つといっても、護法の為であるから命を断ってはならない」とある。