(妙心尼御前御返事 御書九〇一頁二行目) 入道殿は今生にはいたく法華経を御信用ありとはみ(見)候はねども、過去の宿習(しゅくじゅう)のゆへ、かのもよをしによりてこのなが病にしづみ、日々夜々に道心ひま(間)なし。今生につくりをかせ給ひし小罪はすでにきへ候ひぬらん。謗法の大悪は又法華経に帰(き)しぬるゆへにき(消)へさせ給ふべし。 (通解) 入道殿は今生に随分熱心に法華経を御信仰しているようには見えないが、過去の宿習の故、その誘因によってこの長い病にかかった。 しかし、病気になったことで日夜絶え間なく信心を起こし、熱心に信仰するようになった。 今生に造りおかれた小罪は既に消えてしまったことであろう。 謗法の大悪もまた法華経に帰依したことにより消え去ることであろう。 |