(立正安国論 御書二三五頁七行目) 世尊、我等四王(しおう)並びに諸(もろもろ)の眷属及び薬叉(やしゃ)等、斯(か)くの如き事(じ)を見て、其の国土を捨てゝ擁護(おうご)の心無けん。但(ただ)我等のみ是(こ)の王を捨棄(しゃき)するに非ず、必ず無量の国土を守護する諸大善神有らんも皆悉(ことごと)く捨去(しゃこ)せん。既(すで)に捨離し已(お)はりなば其の国当(まさ)に種々の災禍(さいか)有りて国位を喪失(そうしつ)すべし。一切の人衆皆(みな)善心無く、唯繋縛(けばく)・殺害(せつがい)・瞋諍(しんじょう)のみ有って、互ひに相讒諂(あいざんてん)して枉(ま)げて辜(つみ)無きに及ばん。疫病流行し、彗星数(しばしば)出で、両の日並び現じ、薄蝕(はくしょく)恒(つね)無く、黒白(こくびゃく)の二虹不祥(にこうふしょう)の相を表はし、星流れ地動き、井の内に声を発し、暴雨悪風時節に依らず、常に飢饉(ききん)に遭(あ)ひて苗実(みょうじつ)成(みの)らず、多く他方の怨賊(おんぞく)有りて国内を浸掠(しんりょう)せば、人民諸(もろもろ)の苦悩を受けて、土地として所楽(しょらく)の処(ところ)有ること無けん」已上。 (通解) 世尊よ、我等四天王並びに諸々の眷属、及び夜叉等は、これらのように国王が正法を流布せしめないことを見て、この国土を捨てて擁護しなくなってしまうであろう。 そのうえ、ただ、我等四天王のみがこの国土を捨て去るばかりでなく、国土を守護する無量の諸天善神も、必ず皆、悉く国土を捨て去るであろう。 すでに諸天善神が去ってしまったならば、その国には様々な災禍があって、まさに国位を失ってしまう。 一切の人衆はみな善心がなく、ただ縛り合い、殺害し合い、争い合って、互いに相手を讒言し、罪のない者をも曲げて罪に陥れるであろう。 そして、国土には疫病が流行し、空には彗星がしばしば出て、一度に二つの太陽が並んで現れ、日蝕や月蝕などの薄蝕が規則どおりに行われず、黒白の虹が出て不祥の相を現し、流れ星が出て、地震が起きて、井戸の中から異様な地鳴りがする。 また大雨や暴風があって、風雨が時節どおりではなく、常に飢饉に遭って、苗や実が実らず、多くの他国の怨賊が国内を侵略し、人々は諸々の苦悩を受けて、楽しく生活のできる所は何処にも無くなってしまうであろう」以上 |