上野殿御返事(御書一二〇七頁) まこと(実)やらむ、いゑ(家)の内にわづ(煩)らひの候なるは、よも鬼神のそゐ(所為)には候はじ。 十らせち(羅刹)女の、信心のぶんざい(分際)を御心みぞ候らむ。 まことの鬼神ならば法華経の行者をなやまして、かうべ(頭)われんとをも(思)ふ鬼神の候べきか。又、釈迦仏・法華経の御そら(虚)事の候べきかと、ふかくをぼ(思)しめ(食)し候へ。 (通解) あなたの家に病人がいるというのはまことであろうか。 病は万が一にも鬼神の仕業ではない。 十羅刹女が信心の程度を試しているのであろう。 本当の鬼神であるならば、法華経の行者を悩まして頭を破ろうと思う鬼神がいるであろうか(いない)。 また、釈尊や法華経に虚空があるはずがないと深く思いなさい。 |