聖愚問答抄下(御書四〇九頁一行目) 聖人云はく、人の心は水の器にしたがふが如く、物の性は月の波に動くに似たり。故に汝当座は信ずといふとも後日は必ず翻(ひるが)へさん。魔来たり鬼来たるとも騒乱(そうらん)する事なかれ。夫(それ)天魔は仏法をにくむ、外道は内道をきらふ。されば猪の金山(こんぜん)を摺(す)り、衆流(しゅる)の海に入り、薪(たきぎ)の火を盛んになし、風の求羅(ぐら)をま(増)が如くせば、豈(あに)好(よ)き事にあらずや。 (通解) 聖人が言うには、人の心は水が器の形に従って変わるようなものであり、物の性質は月の影が水の波に動くのに似ている。 故にあなたはしばらくの間信じるといっても、後になって必ず心を翻すであろう。 けっして魔が来ても、鬼が来ても、心を乱してはならない。 それ天魔は仏法を憎む。 外道は内道を嫌う。 されば猪が金山をこすれば、金山は輝きを増し、多くの川の水は海に集まり、薪は燃やす程に火力を盛んにし、風に当たって求羅という虫は大きくなるように、あなたが信心に励んでいくならば本当に立派なことではないか。 |