日厳尼御前御返事(御書一五一九頁二行目) 其の上は私に計(ばか)り申すに及ばず候。叶ひ叶はぬは御信心により候べし。全く日蓮がとが(咎)にあらず。水す(澄)めば月う(映)つる、風ふけば木ゆ(揺)るぐごとく、みなの御心は水のごとし。信のよは(弱)きはにご(濁)るがごとし。信心のいさ(潔)ぎよきはす(澄)めるがごとし。木は道理のごとし、風のゆるがすは経文をよむがごとしとをぼしめせ。 (通解) その上は、自分自身で推し計るに及ばない。 御本尊にまかすべきである。 ただし、願いが叶うか、叶わないかはあなたの御信心による。 まったく日蓮の失ではない。 水が澄めば月がきれいに映り、風が吹けば木の枝が揺れるように、人々の心は水にたとえられる。 信心が弱いのは水が濁っているようなものであり、信心が清らかなのは水が澄んでいるようなものである。 木のたとえは道理を表しているようであり、風が木の枝を揺り動かすのは、あたかも経文を読誦するようなものであると心得なさい。 |